ゲームマスターズアカデミー〜第一回〜

これより、ゲームマスターズアカデミーを開講する。

このゲームマスターズアカデミーは今までプレイヤーしかした事がなくて始めてGMをする人を
対象にしているが、経験者の方もぜひ読んでいただきたい。もし、これを読んで意見や感想などが
あれば、管理者宛てにメールで連絡していただけるとありがたい。意見は積極的に取り入れ、次回の
講義に活かしていくつもりである。

本アカデミーの講師は私、南雲が勤めさせていただく。


1.まずは何をすべきか。

まずGMをするにあたって必要なものはと言えば、なにはなくとも「システム」である。

「そんなの当たり前じゃん!」というなかれ。これは一番単純にして大事な事なのである。

だいたい7〜8年前、つまり我々がこのサークルを発足させた当初は、TRPGに関して、ゲーム会社や
出版社などが活発に活動していた頃だった。当時は書店にTRPG関係の雑誌が並び、大手の書店に行けば
システムもいくつかは簡単に手に入る状況にあった。
ところが昨今はTCG人気に押された形で(無論、それが理由ではないのだが)TRPGは急速に衰退していって
いる。TRPG雑誌も軒並み無期休刊か、名前を変えてしまうかで消え去ってしまった。残っている物と言えば
ファー・イースト・アミューズメント・リサーチが出している『ゲーマーズ・フィールド』くらいで、それにして
も、イエローサブマリンのようなTRPGなどのホビーを扱う店に行かないと手に入れられなくなってしまっている。

つまり、何が言いたいかと言うと
『システムを手に入れるのは、けっこうやっかいである。』
という事なのだ。

そこでどうするか。今考えられる方法にはいくつかある。

1)大手書店にいって探す。

自分の近所に大きな書店、またはイエローサブマリンのようなホビーショップがある場合は
この方法が一番確実だろう。実際に手にとって見られる所があれば、それがベストだ。
もっとも全ての人がそれが出来るわけではない。どうしても大都市圏に近い所に住んでいる人だけに
限られてしまうのが難点である。

2)友達に借りる。

ありがちな手だが、TRPGについてよく知っている人に貸してもらうパターン。
自分がTRPGについてよく知っている友達を持っているのなら幸いだ。
頼んでいくつか見せてもらうといい。この方法ならば、中身を吟味した上でシステムを選ぶ事も
出来る。実際に買う際の参考にもなるだろう。借りる前に軽く目を通しておくとなおいい。
普段はGMをやっているような人なら、頼めば貸してくれるだろう。
なぜなら そういった人は仲間を増やすのに懸命だからである(笑)。

3)通販で頼む。

大きな書店やホビーショップが近くになく、またTRPGに詳しい人も身の回りにいない場合は
通販で買うと言う手が残っている。幸いイエローサブマリンのような大手ホビーショップは通販を
していて、『ゲームぎゃざ』なんかに通販の広告を出している。もっとも最近はTCGのシングルカードの
宣伝のほうが強いので、事前に情報をある程度仕入れておく必要があるかもしれない。

4)同人TRPGを買う。

少々アクロバティックな方法だが、これもひとつの手段ではある。同人誌というと、アニメや漫画のパロディもの
などを思い浮かべる人もいるかも知れないが、全国に数あるTRPGサークルの中にはオリジナルのシステムを
出しているところもけっこうある。ここのサイトのリンクの部屋にも載せているので、参考にして欲しい。

おそらく上記4点ほどが、システムを手に入れる手段となるだろう。

2.システムを選ぶには?

次にシステムの選び方だ。
システムを手に入れる方法が決まったら、次はどんなシステムが欲しいかを考えよう。
ポイントになるのは

1)わかりやすいか。?

2)ワールドに興味が持てるか?

3)自分の得意分野に近いか?

くらいだろうか?

1)はこのアカデミーが初心者GMを対象にする為に上げられる項目ではあるのだが、まず、始めてGMをやる際は
人によって差があるにせよ、混乱や物忘れが起こりがちである。
実際自分が始めてGMをやった際にもいくつかのルールミスを犯している。
そうならない為にも、システム、特に判定関係がわかりやすく、覚えやすい物を選ぶ必要がある。

2)は非常に重要だろうと考える。既成シナリオを使うにせよ、自分でシナリオを組むにせよ、ワールドに対して愛着がなければ、
システムを読むのも苦痛になりかねない。逆にいうと、ワールドに対しての愛着があれば、1)に上げた項目は軽視できる。
思い入れがあれば、人間多少の苦痛など屁にも感じないからだ。

3)は2)と一部かぶるかもしれない。みんなも自分の好きな分野があると思う。
ファンタジー関係の小説が好きだとか、ロボット系のアニメが好きだとか、もしくはラブコメが好きだとか。
自分が入れ込んでいるものを軸にして考えると、作っていく物語にも深みが出てくる。
システムを読むときも自分の知識と結びつけて考える事が出来るし、シナリオを組む際にも、そのためのネタはすでに君の頭のなかにあるわけだ。
もちろん、実際にGMをする際にも的確かつ、格好の良い受け答えができるだろう。

3.下準備、下準備。

システムを選んで、買った、あるいは借りたらそれを熟読すべし。
ただし、チャートや装備品の類などのデータ類はさっと目を通すだけにしたほうがよい。
最近出まわっているシステムの多くはA4版くらいのハードカバーのものが多い。
それを全部読むのはかなりの苦労を要する。そこで重点を絞って読む事をお勧めする。
重要になるのは以下の点だ。

1)まずは何はなくともワールド。

まず読むべきなのはワールドの設定である。
これを熟読しておかないと、プレイヤー陣の最初の質問でつまづきかねない。
すなわち「マスター、ここはどんなところ?」である。
細かい情景描写までは無理にしても、必要最小限の情報くらいは答えられるようになっておいたほうがいい。
シナリオを進めていく際にも、ワールドを良く知っておいたほうが、円滑に進められるだろう。
「今までに遊んでいてみんなもよく知っているシステム」ならいいかというとそうでもない。
GMとプレイヤーの間には協力関係があるが、プレイヤーに頼りきってしまってはいけないからだ。

2)キャラクター作成

次に重要になるのが、キャラクター作成。順番はワールドとどっこいどっこいだが、あえてワールドの次にする。
出来るならばワールドの設定にあったキャラクターを作成するためである。1回目のプレイで一番時間がかかりがちなものは、
なんと言っても、キャラクター作成である。慣れていないと、どうしても作成時間に倍以上の時間がとられがちだ。
ここは読むだけでなく、自分で作ってみると覚えるのも早い。
実際のプレイの時にも質問の出やすい所なので、しっかり押さえておくといいだろう。

3)判定関係のルール

言わずもがなだが、TRPGというゲームはいたるところで判定を必要とする。
判定をしないシステムはない、と言っても過言ではないと思う。
よくTRPGは『ルールのあるごっこ遊び』などと言われる事がある通り、ゲームを進めていく上で判定ルールは必要不可欠なものだからだ。
ゲームを進めていくと各所で判定を行う事になるだろう。そういう時に慌てない為にも、判定関係のシステムは熟読しておかなければならない。

4)戦闘関係のルール

上の判定関係のルールとかぶるかもしれないが、戦闘関係のルールは判定の複合体であるので別にする。
戦闘ルールはいくつかの判定がある順番に解決されるようになっているものがほとんどである。
そしてすべからくそのほとんどは、ある程度の煩雑さを持っているのである。
戦闘は、戦闘ルールを持つシナリオの中では、物語のスパイスとなるべきもので、プレイヤー諸氏の中にも戦闘が一番の楽しみという人も少なくないと思う。
この戦闘ルールについての理解が浅いと、ルールミスや戦闘シーンの長期化をまねき、物語のスパイスになるどころか、物語を間延びさせてしまう原因にもなりかねない。
とは言え、そんなに難しいものばかりでもないので、良く読んで覚えておくといい。

5)通貨

我々が日常生活する上でお金がいるように、プレイヤーキャラクター(以後PCと略す。)にも生活していく上でお金が必要である。
お金という概念が存在しないシステムも多くはないと思う(ないと断言はできない)。
けっこういろんな場面でお金がいる事になると思うが、その世界の通貨単位は押さえておく必要がある。
金貨や、銀貨、紙幣など、いくつかの形態がある場合、その変換率が一番大事だ。
単純な事だが、必ず押さえておくべきだ。

だいたい以上に上げた点が、注意するべき点だろう。あとはデータやチャートなどになると思うので軽く目を通しておくといい。

さて、今回の講義をそろそろ締めくくるとしよう。
まとめとしては
1.システムを手に入れるにはいくつかの方法がある。
2.システムを選ぶ際には、わかりやすく、自分の得意分野に近いものを選ぶと良い。
3.システムは重要なところを重点的に熟読する。特にワールド、キャラクター作成、判定関係は重要である。

という所だろうか。

以上の点から私がおすすめするのはグループSNEの『ソードワールド』である。出来れば『完全版』よりも始めの文庫サイズのほうが初心者には向いているかもしれない。
『完全版』は確かにデータとかはしっかりしているがいかんせん、始めて買うのにはやや高いと思われる。
もしかしたらもう書店には置いていないかもしれないが、古本屋などをあたってみるとけっこう安くで置いてあることもある。
まずは、この文庫版の『ソードワールド』でいくつかやってみた後で『完全版』にステップアップするもよし、他のシステムを使ってみるのもよしだ。
システムとしても簡単で覚えやすいし、ファンタジーという分野はとっつきやすいだろう。

以上で今回の講義はお終いだ。では、次回『シナリオについて』で会おう。

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