ゲームマスターズアカデミー〜第三回〜

〜第3回〜

それでは、3回目の講義を始める。
前回は簡単にシナリオの話をした。もっともかなりはしょったのでわからない人もいるかもしれない。
そのうち、もう少しつっこんだ話をしてみたいと思う。
さて、前回までで、用意するものは整った。システムとシナリオ、とりあえずその二つがあって、プレイヤーがいるなら、セッションは始められる。

いざセッションが始まって、まずなにがGMである君を悩ませるか。

それは、『アドリブ』である。

既成のシナリオであれ、君が自分で作ったシナリオであれ、そこで起こりうる事象を全てカバーすることなどできない。
特に、コンピューターRPGと違って、選択肢は想像力の数だけある。
プレイヤー達は、今ある情報から、いろいろと頭をひねって、いろんなアイデアを出してくる。
もちろんその中には、君がシナリオ作成時に予想した範囲のものもあるだろうが、それより多いのは、自分の考えていた範囲外の解答なのだ。
そういう場合はどうするか?その答えが『アドリブ』である。そこで今回は『アドリブ』について少し語ろうと思う。

1.一口にアドリブと言っても……。

アドリブと聞いて尻込みをしてしまう人もいると思う。
アドリブとは、よく知られている意味としては演劇などでシナリオにないセリフを即席で作って演じる事を言う。
ゲームマスターの『アドリブ』もたいして意味は違わない。

 実のところ、GMを始めた頃は南雲もアドリブは苦手だと考えていた。
その場で質問の内容と状況を整理し、解答を出すという作業は、頭の回転が速いほうではない南雲にとっては
どっちかというと、苦手な部類に入るものだったのである。

 では、どうするか。当時、南雲がやった事は二つある。
まず第一に、「重要なセリフはすべて書き出しておく。」である。
物語上いちばんの見せ場となるシーンで、敵のボスがとちったりしてたんじゃ、いまいち決まらない。
ヒロインのセリフだって大事だ(笑)って事になると、やはり見せ場となるシーンだけは押さえておく必要がある。
その為の作業なわけだ。

そして第二に、キャラクターについていろいろ想像する事である。
もちろん、セッションを行う前に、である。
自分がプレイヤーである時に自分のキャラについていろいろ背景設定を考えるように
そのキャラクターがどう考えているのか、何を目指し、何の為に行動しているのかを、事前にじっくり考えておくと
たとえ、唐突に話を振られたとしても、そのキャラクターについては、自分の中で、熟成しているのだから、答えは自然と出てきてくれる。

 これらを突き詰めて行くと、いわゆるデータ型のGMというスタイルになる。
アドリブをしなくて済むように、事前にすべての可能性に対して答えを用意しておくわけだ。
が、しかしだ。上に上げた方法は、『アドリブを回避する方法』であって、根本的解決にはなんら結びついていない。
これはプレイヤー達が出してくるであろうアクションに対する答えをあらかじめ作っておくことで、全部前もって押さえてしまう方法である。

 『アドリブ』と一口に言っても、何もセリフばかりではない。
ルールにない判定であったり、その場の対応であったり、なかには、シナリオ自体がアドリブなんてものもある。
セッションを何回かしてると、マスターの作ったイベントに対して、プレイヤー達は頭をひねる事になる。
自分の手持ちの道具、回りにあるもの、回りの状況。それらを組み合わせて、アクションを起こす(宣言する)。
それが何らかの判定を必要として、かつルールブックに載っている範囲の事だったら、ルールに則って判定を行えばいい。
しかし、ルールに無い場合は?また、そのアクションに対する答えがシナリオに書いてなかった場合は?
『アドリブ』が必要になるのが、そういった場合である。

2.アドリブに必要なもの

 先に挙げた局面に出くわした場合、アドリブで切りぬける事になる。では、アドリブをするのに必要な事は何か?

 私が思うには、まずなんといっても、言うまでも無い事だが、ルールの熟読である。
なにもデータまで覚えていろとは言わないが、判定ルールについては完全に覚えておくつもりで呼んでおくべきだ。
判定については完全に把握している事がもっとも望ましい。

ルールの把握がなぜアドリブに関係あるかというと、それは気持ちの余裕とつながってくるからだ。
ルールもうろ覚えの状態では、判定をさばくのに頭の処理能力を奪われてしまう。
この判定方法さえちゃんと押さえておけば、それだけ他の所に目を向けられるようになる。
この余裕がアドリブには必要である。

次に
自信である。根拠はあったほうがいいが、なくてもいい(爆)。
GMとは主催者であり、司会者である。その場(セッション)を仕切るのは、GMであるキミなのだ。
自信をもって行う事が必要である。言葉を変えるなら強気で行動するという事になるだろう。
勘違いして、傲慢になってはいけないが(苦笑)。

 そしてもうひとつ。失敗を気にしない事である。
同じ卓を囲んでいるプレイヤー諸氏がキミを注視しているだろうが、ミスを恐れてはいけない。
ルールミスだろうが、セリフの途中でとちったんだろうが、気にする必要はない。
ルールはその場では間違っていたとしても、マスターの判断は優先される。
もし間違っていたのに後ででも気付いたのなら、後で謝罪なりして、次に繰り返さなければいいだけの事だ。
セリフをとちったり、間違って変な事を言ってしまったとしても、ままある事だから、笑い飛ばしてしまえばいい。
失敗を気にする必要はないのだ。

 最後に、これが最も身につきにくいものだが、慣れ、もしくは、経験である。
「それじゃ無理じゃん。」と言うべからず。結局回数をこなす事が上達につながるのは言うまでもない事である。
そして、回数をこなして行く毎にいろいろと、君自身さえ気付かない事を積み重ねていく事になるのだ。
それが次にGMをやる際に君の手札になる。

一つ気をつけなくてはいけない事は、慣れて行くにつれて「だれてしまう」事だ。
特によく知った仲間とやる時はなぁなぁになる事が多い。
が、慣れはあっても「だれ」てはいけない。
常に気分は一新してゲームに臨んでもらいたい。



まとまりのない講義になってしまったような気もするが、いかなる状況におかれても、冷静でいる事だ。
その為の準備はできるならしておけばいい。落ち着いてやれば、きっとうまくいくはずだ。
それぞれに自分なりの方法で修練をつんでくれ。

では、以上で今回の講義を終わる。講義についての質問、その他はメール、掲示板で受け付ける。
また次回の講義で会おう。

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