ゲームマスターズアカデミー〜第四回〜

〜第4回〜

随分と間があいていたが、諸君は精進していたであろうか?
これより、第4回の講義を始める。
今回は、キャラクターの「死」と戦闘バランスについて講義したいと思う。

1.キャラクターの「死」と言う事。

唐突に「死」などと言うと、随分物騒なものだ。
育ててきたキャラクターが死んでしまうのは、プレイヤーにとっては辛い事だろう。
また、最近のゲームには、あるパラメーターが一定値を超えると(あるいは下回ると)
NPC化するといったルールが取り入れられているものもあり、これも一つの死だと
言えるであろう。

さて、このキャラクターの「死」だが、これには、コントロール出来るものと、出来ないものがある。
いわゆるファンブルによる「死」は、そのほとんどが不確定要素から来ているので、これをプレイヤーが
コントロールして回避、もしくは、その状態を成立(つまり死ぬ事)させる事はできない。
コントロールが不可能であるこれらは、プレイヤー諸氏のロールプレイのみが、そのキャラクターの最後を
語る事になる。

では、コントロール出来る「死」とは何か?
主に、キャンペーンなどで起こりうるシチュエーションとしての「死」がそうである。
これを成立させる為には、GMとプレイヤーの密接な相談がなければならない。

周りを取り囲む敵の大群。PC達の能力ではおそらく突破できない絶対絶命のピンチ。
そんな時誰かが叫ぶ。
「ここは俺に任せていけーーーーーーっ!」
そうする事で我が身を危うくしても。
仲間を守る為に自分の体を張る。

こういったシチュエーションはGMとプレイヤーの相互の理解があれば、実現させる事ができる。
キャンペーンなどの最終回ならば、そういう形で最後の華を飾ろうとするプレイヤーもいるだろう。
お互いの理解と協力があれば、出来る、それが、コントロールできる「死」だ。

また、先に上げたNPC化もコントロール出来る「死」だと言えると思う。
これらは、あるパラメーターが一定値を超える(あるいは下回る)事で成立する事がほとんどである。
本来はその対象のパラメーターに留意して行動する限りにおいて「死」ぬ事はあまりない
(シナリオによってはそれを余儀なくされる事もあるが)。

また逆に、意図してこれのパラメーターを操作する事も出来る(状況は限定されるかもしれないが)。
これらのシステムのほとんどが、キャラクターの人格や背景に肉付けをするという側面も持っている為
ロールプレイを行う事にあたって積極的に利用するのも一つの手で、先に語ったように
キャンペーンのクライマックスならなおさら、それらを利用する事で自分のキャラクターの見せ場を確保する事ができる。
よって、これもコントロールできると言えるだろう。

2.「死」はタブーか?

もちろん、プレイヤーが望んでもいないのに強制をするのは言語道断である。
誰しも自分のキャラクターは可愛いのだ。犠牲になどしたくないのは、誰でも一緒だ。
だが、プレイヤーがそれを望んでいるのならば
GMはそれを叶えてやる必要がある
もちろん、PL氏がヤケになっているのではなく、物語を成立させる上での協力としてである。
また、そこまで手がまわらん、という事ならいたしかたない(笑)。
が、ストーリー上、また、そのキャラクターの見せ場としての「死」は、必ずしも忌避されるものとは言えず
よって、キャラクターの「死」は必ずしもタブーではない。

また、オンラインでは、やや難しい話になる。
実質的な問題として、休日の少ない時間をかけて、それもその多くは徹夜までして(笑)育てているキャラクターを
そうそう失いたくないのが心理であり、これはオフでのセッションよりも、心理的に重い。
だから、GMは戦闘バランスなどによりいっそう気をつける必要があるのだが、だからと言って、「死」はタブーではないのだ。

3.戦闘バランスというものについて

やや話が戦闘バランスの方へと傾いてしまうが、戦闘バランスというのは、各GMにより、この度合いというのは実に様々だ。
絶対に殺さない、もしくは、何かで死んだ場合でも、救済措置をあらかじめ用意しているGMから、PCを殺してナンボと言い張る人までいるが
自分の論理を語らせてもらうと、
「戦闘は所詮スパイスにすぎない」のである。
私の場合は、ストーリーありきなので、戦闘にあまり(シナリオ全体での)バランスを置いてない。
ストーリーをPC達(PL達、と置き換えてもいいが)がしっかりストーリーを追いかけてくれるほうがいいと考えている。
よって、戦闘は軽めの事が多い。キャラクターと障害であるところの敵とのバランスをどうとるかは、使用するシステムによって
多少変化はあるが、PC達よりやや強め、くらいを目安にする。
本当なら、敵としての威厳をしめさせて(NPCの為に(笑))やりたいのだが
それをすると、実際の戦闘の時にPC達が全滅の憂き目に会いやすいので、それは回避する。

戦闘のルール(防具や武器まで含めた話としてのルール)によって違いはあるが、直接打撃、間接打撃のみの敵と、魔法攻撃、もしくは魔法として扱う攻撃を持った敵とではやや位置付けに差があり、打撃オンリーの敵なら多少レベルが上でも太刀打ちできるが、魔法系の攻撃が絡むとその辺のバランスが
一気に逆転するので、PCの把握が出来るなら(もちろん、なるべくしておくべきだが。)それによって状況を想定し、対策をしておく必要がある。
一番良いのは、参加PCの能力を使っての模擬戦闘であるだろう。時間があるなら、自分で各キャラクターを実際に動かしてみて、戦闘がどのように
なるかを予想を立てておくといい。これをする事によって、PCより強すぎた、もしくは、弱すぎた、といったような事は回避できるはずだ。
シナリオを作る時にセッションまでに時間があるなら、ぜひ行なって欲しい。

やや補足すると、緊張感あふれる「かつかつの」戦闘を行なおうと思うと、このバランス取りは難しいものとなる。
もちろん、これが不可能な事でないのは明白なのだが、これにはいろんな要素が絡む事になる。
模擬戦闘を含めた事前の緻密な計算と予測。実際に戦闘が行なわれる際のPL同士の、また、GMとPLの協力。
そして、PL諸氏の行動力や発想が大事となる。PCのスキルなどの把握は言うに及ばず、その行動パターンの把握まで含めると
これらはかなり煩雑な作業であるとも言える。が、これを達成した時の達成感は得がたいものだと思われるので、試してみるのもいいだろう。
(玉砕しても当方は感知しない。死して屍拾うもの無し、である(爆))

また、実際にセッションが始まってから、戦闘シーンが始まった時に、予想を裏切られる時もある。
GMがPL諸氏の事を把握していても、やはり、その時その時の発想というのは違っているので、GM側の予想が裏切られる事は往々にしてある。
そういう場合はどうするかだが、そのアクションが事態を好転させる場合はほっておく。言うまでもなく、これはその発案をひねり出したPL氏の
手柄であるからだ。賞賛の言葉なり、ボーナスなりをあげるといいだろう。だが、事が悪化する場合はどうするか?
状況が当初の予定を裏切った以上、建て直しを行なう必要が出てくる。いわゆる
「手加減」である。
いくつか方法が考えられると思うが、下の通りであろう。

1)直接打撃系統と魔法(またはそれと似た)系統の攻撃を両方使っている場合は、魔法系を押さえる(魔法のほうが強い事が多いため)
2)ダイス目のごまかし。
3)モンスター、もしくは敵NPCのデータの変更。

1)はモンスターの攻撃力を手っ取り早く落す事が出来る手である。
システムによって差はあるが、同様にして、やや攻撃力を落してやればいい。

2)は始めからオープンでやっている場合は使えない手である。
しかし、マスタースクリーンの裏でダイスを振っているならば、ダイス目を申告してやる必要はないので
攻撃力、防御力のコントロールをしてやればよい。

3)はとっさに実際の数値を変更する手である。
ただ、実際に数値をいじると、ものによっては、一気に戦闘バランスが崩壊する事もありうる。
あまりお勧めはできない。

なんにせよ、手加減をする場合は、なるべくばれないようにするべきである。
なぜそんな事を言うのかといえば、それは、そのセッションだけに限らず、次回以降にも波及する為である。
「あのGMの戦闘は甘い。」というレッテルはあまり好ましいものとは言えない。
そうした認識は次回以降のセッションでも発揮される為、PL諸氏の「だれ」や相互の馴れ合いになってしまう恐れがある。
そうなってしまうと、スパイスどころか、害悪にしかならないので、注意が必要だろう。

4.まとめ

いくつか述べてきたが、簡単にまとめておく。
1.キャラクターの「死」はタブーではない。
  PLが望むなら、GMはその場を用意してやる事も必要である。
  もっとも、それにはGMとPLの相互理解と協力が不可欠である。お互いの一方的な押し付けはしてはいけない。
2.戦闘はスパイスである。
  GMの思惑よりは、PCの見せ場を考えてやるとよい。
  PC達が楽に勝利するのも「アリ」だろう。敵の強さは「やや強い」くらいで。
3.手加減が必要な場合は、なるべく気付かれないようにすべし。
  できるなら、事前にキャラクターを使った模擬戦闘をする事でこの手間を省く事が可能である。



では、以上で今回の講義を終わる。講義についての質問、その他はメール、掲示板で受け付ける。
また次回の講義で会おう。

戻る
トップに戻る