ゲームマスターズアカデミー〜第七回〜

〜第7回〜

さて、ゲームマスターズアカデミーの第7回の講義をこれから開講する。
前回に引き続き、特別講師を招いて、シナリオの作成についての考察を行なってもらう事とする。
今回の特別講師はやかん氏である。各自しっかりと聞くように。


シナリオ作成について、一考察

・この文章は、やかんが今までTRPGなるものを行ってきた上で思ったこと、感じたこと、経験したことを元に書かれたものです。
「これは違う」と言う事は多分にあると思われます。

シナリオの作り方

1.GMが先ず何をしたいか?目標の選定

先ずは、これからです。「何をやりたいか」がハッキリとしていなければ、組み立てようがありませんからね。
やかんが話を作るときは、、

1)1つの情景・台詞を演出したい
2)鍵となる何か「モノ」を使いたい
3)登場させたいNPCがいる
4)1つまたは複数のキーワードを設定する
5)傾向を決めて話を作りたい(分岐:セッションの傾向・場(フィールドorシティ)の設定)
6)その他

大まかに分けて以上5点、どれか、もしくは複数の条件を組み合わせてセッション作りを開始します。

2.目標が決まったら、練り込みです

やりたいことが大まかに決まったら、シナリオを練り込む作業に入ります。

・演出したいシーンにどう話を繋げていくか。
・どうやったらNPCが、鍵となる物が、またはモンスターが映えるか。
・設定したキーワードをうまく取り込んで話の流れが作れているか。
・傾向がずれていないか。

を確認しながら作っていきます。

この時私は、思いついたことをテキストデータに書き起こすか、手元のざら紙に書き付けることが多いですね。
話の流れでセッション内に経過する日時が3日以上になる場合、日時経過が少ないセッションでも時間刻みでイベントが起こるようなものの場合は
タイムテーブルを作ることがあります。その方が話の流れが見えやすくなるので。

3.練り込んだら、点検です

とりあえずやりたいことは見えて話の流れが出来た、と言う地点までたどり着いたら見直し作業に入ります。
この時点で注意することは………

・話の進め方に無理はないか?
・情報の出し方に不備はないか?
・PL及びPCの誘導は十分に行われているか?
・参加した人が何かを感じる話になっているか?

です。

セッション中、GMはPLに比して、「握っている情報の多さ」で圧倒的有利な立場にあります。
(あたりまえといえばあたりまえですね。話の作成者はGMなのですから)

1)話の進め方に無理はないか

GMはセッション中、その場を支配する神様と同じぐらいの支配力を持ちます。
ですから、PCがいくら無理を言ってもGM権限の名の下に無理矢理ねじ伏せることが可能ですが、、、。
無理矢理になるとPLGM双方、どこか納得行かない点が残ります。
それを起こさないために、流れに無理がでている点はないか、自分がPLだったら話の流れに
納得することが出来るかと言う視点を元に、シナリオを見直します。

これに2)情報の出し方に不備はないか 3)PL及びPCの誘導が十分に行われているかが付随します。

2)情報の出し方に不備はないか

GM時に陥りがちなことに「ここまで言ったらすぐにPC達に全容がばれてしまうに違いない」と思い
情報を小出しにしすぎてしまい、PC達が動いてくれずにセッションが進行しない、と言うものがあります。
PC(引いてはPL)達は、GMが思うほどに情報を拾えない物です。
気がついてくれないと困る情報はGMからすればややしつこいほどに、気がついたら問題解決が早まる情報は普通の頻度で
気がついたらPLがニヤリと笑えるような小ネタはさらりと提示するぐらいが丁度良い物と思われます。

ここで提示する予定の情報は、コピー&ペースト出来るように、テキストデータへ起こしておくことが望ましいですね。
余裕があるときは、情報を出す所ごとに「情報リスト」をつくって箇条書きにしておくと良いでしょう。
情報を出せる場所(例)魔術師の学院 盗賊ギルド 依頼先で聞ける話 町中の噂
時間があったら、、、情報は、「作り過ぎかな?」と思うぐらい作っておくと良いです。ありすぎて困ることはありませんからね。

3)PL及びPCの誘導が十分に行われているかどうか

1)にあげた理由により、PCたちの動きが鈍くなった時だけでなく、セッションの円滑な進行に誘導は不可欠な物です。
冒険者にどう動いて欲しいのか、情報をつかんだらどのように動くのか を予測しながらシュミレートしていきます。
これは、参加するPL、PCによってGMの払う注意力が異なって来るところだと思います。
GMとして始めて会うPLさんが多いときほど、詰めて置いた方がいいところでしょう。

2)3)は、特にシティーアドベンチャーを行うときには念入りに。
情報を出しそびれてPC達がだるまさん(手も足も出ない、の意)になることだってあるのですから。

4)参加した人が何かを感じる話になっているか?

これはやかん的我が侭です。依頼をこなして終了、だけでは味気ないかなーと。
依頼をこなす間にあったNPCたちの生き様でも、敵対したNPCの台詞でも、何でも良いのです。
どこか1つ、何か感じてもらうことが出来たらGMとして嬉しいことはないですね。

点検中に矛盾が生じたり、冗長になりすぎたりした場合は、思い切ってその情報を切り捨てる潔さも必要です。
特にオンラインでは、情報を少なめに少なめに、を心がけます。そうしないと一セッションで終わり切らなくなりますので(^^;
切り捨てた情報は、1つフォルダを作ってそこへ保管しておきましょう。別のお話の材料になることもあります。

4.もう一度お話を読み返してみましょう

これは結構重要です。考えているうちに当初の予定とは全くずれた物になっていることも多々あります(爆)
これは「絶対に」おもしろい、とGMが思うお話も要注意。自己満足度が高い物ほど他人は面白くない物です。
それでもどうしてもその話をやりたいという場合には、、、通常の3倍ほどPL&PCに対する配慮を。それでもしたり無い事の方が多いのです。

この時点でシナリオは一応完成です。後は実行あるのみ♪

補足1:PC達とは別行動をするNPCがいる場合(敵味方問わず)
各NPCの背景設定を軽く考えて、それを元に行動指針を考えておきます(その話に何故関わっているのか?
と疑問を提起してから考えることが多いですね)


さて、いかがだっただろうか?
今回の講義はシナリオの構築に関して、特に作成時の見直しに焦点を当てて話をしてもらった。
簡単におさらいしてみよう。以下の四点について述べられている。

A.ストーリーの流れを確認する。

初期にダンジョンシナリオから始まったTRPGが、なぜシティアドベンチャーに移行していったのか、という事の原因の一端は
やはり、その自由度にあるのだと考える。どちらに進むかが大体において決められているダンジョンは飽きられがちになり
奔放なロールプレイをする事ができるシティアドベンチャーに移っていったのではないだろうか。

講義中でやかん氏が述べているように、GMがその権限でもってPC、ひいてはPLに強制する事は簡単である。
だがしかし、それでは、ダンジョンシナリオの(むろん、ダンジョンシナリオの良さは別にあるのだが)窮屈さに逆戻りさせてしまう行為であろう。

とすれば、ここで行なう事は、「如何に強制せず、うまくPC達を誘導するか」を作成したシナリオを読み、考え直す事であると言える。
ざっと読み直し、ストーリーの展開上無理がある、と思った場所にチェックをつけておき、次のステップに進むのだ。

B.情報の与え方と誘導について

当たり前の話だが、誘導をすると言っても「こっちに行ってください。」「あっちに行ってください。」というわけにはいかない。
じゃあなにで誘導するのかというと、読者諸兄はお分かりだろうが、「PCに与えられる情報」がそれなのだ。

であるならば、情報のシナリオにおけるウェイトは非常に重たい。PC達はどのようなストーリーであれ、そこで提供される状況を
結合し、分析し、その結果はじき出される予想に向かって行動する。それは、まるでパズルを組み立てるのに似ている。
となると、そこに情報が足りないという事は、パズルの1ピースが足りず、図の完成を妨げるという事になる。

そういう事から、情報が十全に与えられているかどうかについては、シナリオ作成上もっとも注意を払うべき事である。
先のAでチェックした部分に対してを重点的に、与えている情報があいまいでないか、足りてない情報はないか、などを
自分がプレイヤーとして参加した場合をシミュレートして、修正、補填するのだ。

再々度言っておくが、『プレイヤーはGMが思ってるほど情報を把握していない』
必要になるだろう情報に関しては、それこそ嫌っていうほど用意しておく事をお勧めする。

C.ストーリーに余韻を

やかん氏は我侭と自ら評したが、私はこれを重要な事だと思う。ゲームマスターは主催者であり、エンターティナーである。
無論、依頼を達成するだけでも、何かをした、という充実感のようなものを手にいれる事はできるだろう。
だが、ただ「面白かった」で終わるのではなく、もう一つエッセンスを加味する事を考えたい。
それによってストーリーに深みが増す事を私は約束する。

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作りっぱなしのものは、どうしても粗が出てくる。以上のような行程を取り、見直し修正する事で、それらの粗を無くす事ができる。
特に、情報の与え方に関しては注意深くなってもなりすぎる事はない。時間があるなら、しっかり見直しておくべきだろう。

今回の講義は以上で終了である。質問などは掲示板で受け付けるので、送って欲しい。
では、諸君らの検討を祈る。次回の講義でまた会おう。

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