ミニコラム第2回『TRPGは戦闘ゲームか?』

とあるTRPGサークルのHPのコラムを見た。
それによると、「TRPGは戦闘ゲームである」らしい。

そのコラムの主張によると
ルールのほとんどは戦闘システムに裂かれており、それ以外のルールに関しては軽視されている、からだと言う。
また、武器や防具関係のパラメーターに関しては詳細を記述されているが、その他に関してはないからだ、と言う。
そして、戦闘以外のシナリオの解決はTRPGではない、と言う。



ほとんどのTRPGシステムにおいて、戦闘システムに関する記述が多いのは確かである。
また、ほとんどのシナリオにおいて、戦闘が一つの重要なイベントとなりうる事も、これまた事実である。
しかし、所詮、一部でしかない。戦闘がシナリオの全部であってはならない。そうであるモノは、『シミュレーションゲーム』である。

TRPGの発端が、シミュレーションゲームにあったという事はよく言われる事である。
第2次世界大戦の様々な戦線を模写したボードゲームをやっていた人間が、ただの駒を操る内に
その駒の指揮官やパイロットとして演技をしだすようになったのが発端だと言われる。

それが何を意味するかと言うと、つまり『戦闘システムだけでは飽き足らなくなった』という事なのである。
ダンジョン主体だった初期のTRPGでは、まだこのシミュレーションゲーム的な側面が抜けきらないでいた。
だが、だんだんとダンジョンアドベンチャーからシティアドベンチャーに移っていくにつれて、シナリオにストーリーが求められるようになっていた。
そうなっていくにつれて、キャラクター作成ルールにも変化が出てくる。能力値の決定がサイコロを振って決める形から、ポイントを振り分けたり
初期にある作成点から能力値を買ったりする形に変わっていく事によってプレイヤーのイメージ通りのキャラクターが作れるようになっていったのだ。

執筆者は言う。TRPGが『ゲーム』から『文学』になっていった為に衰退したのだと。
だが、そうだろうか?私はTRPGシステムの変化の推移を見るに、そうは思わない。キャラクター作成システムの変化を見るに、そうは思わない。
これらはプレイヤーの遊び方が変わっていき、そのニーズに合わせてシステムが新しい形に進化していった為にそうなっていったのだ。

無論、私はシステムを軽視するつもりはない。ストーリーを重視はするが、システムなくしてTRPGは成り立たない。
だがしかし、『TRPG=戦闘システム』では決して無いと力説する。

もとよりシステムというものは、そのゲームの世界観を表す為のモノである。戦闘は勿論、交渉したり、運動したり、それら様々な事柄を決めるのに
必要不可欠な代物である。だが、それは、ゲームのすべてではない。

TRPGというものは確かにゲームである。だが、サイコロを振る為のゲームであるならば、戦闘をする為のゲームであるならば
それこそシミュレーションゲームをしたほうがいくらかマシというものだ。
大事なのは、大勢の仲間と卓を囲み時間を共有し、ストーリーを構築していく事ではないだろうか?
そのストーリーを構築していく為に不可欠だからこそ存在するのが、私はシステムだと思う。

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