ミニコラム第3回『リプレイを書いてみませんか?』

今、私の手元には4冊のルーズリーフのファイルがある。それは、私がこれまでに書いてきたリプレイである。

そもそも、なんでリプレイを書き始めたのだったか、あまりはっきりとは覚えていない。
少なくとも、書け、といわれたのではなかったと思う。
多分、大学の講義を録音する為に買ったテープレコーダーがあったので、プレイを収録してみよう、と思った程度だったろう。

すでにその頃には山本弘さんのソードワールドリプレイや、水野良さんのロードス島リプレイ、また、ルナル=サーガのリプレイなども出回っていたし
私個人もリプレイという読み物が好きだった(今も好きだが)ので、自分達のプレイをリプレイにしてみようと思ったのは自然な流れだっただろう。

正直、他にやる事もあるので、どうしても気が向いた時にだけ書く、というような事をやっていたのもあって、私は非常に遅筆だった。
今は、パソコンでこうやって文を打っているわけだが、当時使っていたワープロでは、タッチタイピングなんて事は全然出来てなかったのもあり
それが遅筆ぶりにいっそうの拍車をかけていた。

ラジカセやらは止め、テレコをイヤホンで聞き、少し聞いて(聞き取れなければ何度も聞きなおし)文章を書き込む。
その作業をひたすらひたすら繰り返す。知らない人間が見れば、一種の苦行をやっているようにも見えかねない(爆)。
正直な話、リプレイを作るこの過程自体は、それほど楽しいわけではない。テープレコーダーのマイクの位置によっては
あるプレイヤーさんのセリフはやたら大きく聴こえるのに、あるプレイヤーの声はまるで聞こえない、というような事もよくあったし
外の騒音が入るような場所でやると、それも一緒に入ってなにがなんやらわからなくなったり。
聞き取れないので、音量を上げて聞いていると、しまいに耳も頭も痛くなってみたりしたこともよくあった。

だが、プレイを収録したテープを聞きなおすのは楽しかったし、自分のマスタリングも客観的に見られた。
「うわ、どもってるし。」「いや、それ違うだろ。」
テープを聞きながら、自分の発言につっこむ事もしばしば。
「あー、なんでそんな事言うんだ、おまえらー。」「ぜったいマスターいじめてるだろー。」
と、プレイヤー諸氏につっこむのも忘れない。
プレイ中のプレイヤーさんの行動や発言に改めて驚かされたり、感心させられたりもした。
そういう驚きとかも出来る限りリプレイの中に詰め込んでいき、リプレイが書きあがるのだ。

一冊目「ギア・アンティークリプレイ『ラビエルの秘密』」が出来上がったのはプレイをしてからかなり経ってからの事だったと思う。
数十枚ほどの紙の束を、メンバーにコピー代といくばくかと引き換えに配った。メンバーはそれぞれに驚いてくれたし喜んでくれた。
面白かったといってくれたヤツもいたし、中には、メンバーの別の友達に見せたというヤツもいた。
今いるメンバーのうちの一人は、こうして作られたリプレイを見て、入ってくれた。

多分、作業が大変でも、遅筆でも、それでもオンラインに上げた1冊を含む5冊ものリプレイを書きつづけてこられたのは
やっぱり、こうした反応があったからだと思う。
もし、一作目の時点での反応がまったく違ったものであったなら、後に続く4冊は生まれてなかっただろう。

私にとってこの5冊のリプレイは、GMとしての財産だし、このサークルの歴史の欠片だと思う。
そして、TRPGを遊んだ楽しさとかを思い出させてくれるものでもある。そう思うと、ちょっとばかり感慨深い。

リプレイを書いてみませんか?
GMをする人に、ぜひそうお勧めしたい。

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