バトルテック・メックウォーリアーの世界とは?(西暦2020年から3025年代に至るまで〜)

西暦2020年に、主動力源として利用可能な核融合炉が開発された事が、地球人類を外宇宙へいざなうトリガーになった。
そして、トーマス・カーニィとタカヨシ・フチダによって発表された論文が、2102年に実現される事によって、超高速機関が実際に建造される事により
人類の版図は、タウ・ケチ第4惑星(ニュー・アース)を始めとし、広がっていき、西暦2235年には、その数を600もの殖民惑星へと広げていった。
だが、こうして人類の領域が広がりすぎた事が、地球同盟の殖民惑星の統治を難しくし、結果生じた政情不安や、経済恐慌の慢性化から、人々は
独立を得た殖民惑星へと移住していった。これを《脱出》の時代という。

西暦2314年、地球同盟政府は、内部の不平不満の重圧の結果、ついに崩壊することになる。政府内の政党の紛争が発生した為である。
この時、この紛争に介入したのが、ジェームス・マッケナ提督である。紛争の結果瓦解した同盟政府に代わり、彼は自分自身を地球帝国(テラ・ヘゲモニー)の
統治者であると宣言した。そして彼は、独立した殖民惑星を、地球支配の元に取り戻す為活動しはじめた。

西暦2340年、マイケル・キャメロンが、叔父であるマッケナから地球帝国総帥の地位を継承した。
彼は、科学研究への援助を積極的に推進し、これによって緊張緩和と平和発展への新たな時代が作り出された。
この時代の地球帝国のあり方が、殖民惑星にも反映され、指導者が世襲となる王政に似た支配を確立していった。

西暦2398年から2412年までに起こった血なまぐさい紛争の数々が、アレス条約を成立させた。
それは騎士道精神に溢れていたが、その実、戦争を防止するのではなく戦争を合法化する為の条約でもあった。
市街地での戦闘や、NBC兵器の禁止など、おおよそ人口が多い地域への攻撃や、市民経済に深刻な影響を与えるような軍事行動を禁止したこの条約は、
そういった大規模破壊こそ抑止したが、些細な意見の食い違いでさえも戦争で解決するという風潮をも生み出したのだ。
この時期、地球帝国は他の殖民惑星とは違い、大きな二つの戦争を戦ったのみに終わった。その背景には、24世紀の採掘メックの流れを組んで開発されたバトルメックの
存在があった。在来型の装甲車両をはるかにしのぐ機動性や環境適合力が、地球帝国の優位を保持させたのである。
無論、他の国家もすぐにメック技術を獲得したが、より機動性や武装に優れ、かつ低価格で効率のよい新機体を開発して、この分野での優位を維持しつづけたのだ。

西暦2556年から2569年にかけて、地球帝国第13代総帥イアン・キャメロンは、その調停者の技量をもって、リャオ・マーリック・ライラ・ドラコ・恒星連邦との通商と
相互不可侵条約を結び、2571年、星間連盟(スター・リーグ)と呼ばれる統合国家を新たに創設した。まだその時点では他にもタウラス連合国、カノープス統一政体などの
諸国家があったが、2597年にこの《統合戦争》と呼ばれる戦争により、これらの諸国家も、星間連盟へと統合されることになったのである。

西暦2751年、第5代星間連盟首長シモン・キャメロンがニューテレジアの鉱山植民地を視察中に事故死した。
残された後継者のリチャードは、この時まだ8歳。連盟の評議会は同盟正規軍のアレキサンドル・ケレンスキーを摂政兼後見人として擁立した。
この摂政政治が行われた10年の間に、評議会は連盟の将来に重要な影響を与える二つの勅令を決議した。
一つ目は、2650年のマイケル・キャメロンの勅令の改正。これによって諸公はその戦力を当時の2倍に増やしたことであり
二つ目は大公によって統治される6つの加盟国家のそれぞれが、連盟の予算のなかでより大きな部分を占めるようにしつつ、6つの統治国に対する税率を上げた事である。
この勅命(特に2番目)は、領土内に不安と反抗を呼び起こしケレンスキーは各地のバトルメック駐屯軍を増強しなければならなかった。
リチャードは、その王座に完全につくやいなや、行政命令第156号により、すべての王立軍の完全解散を命令した。もちろん各王家はこの命令にすぐさま反抗した。
評議会とリチャードとの関係が悪化する中、ステファン・アマリスは唯一リチャードを支持し、秘密協定を結んだ。曰く、危機が訪れた際は、地球を護ると。

西暦2766年までに正規軍の4分の3は辺境に集められていた。そして地球に残された正規軍をアマリスの軍勢が凌いだその年の12月、
アマリスはキャメロンの血に列なる者を手当たり次第に処刑し、自分こそが新たな星間連盟の首長だと宣言したのである。
その報を受けたケレンスキーは即座に行動を起こし、簒奪者に対して宣戦布告した。双方ともに自分の軍勢に加わるよう大公達に連絡したが、全員がそれを拒否した。

西暦2779年10月。7年にも及んだ戦いにより、ケレンスキーは地球の解放に成功する。
だが、評議会はその働きに仇で対応した。摂政の地位から退け、指揮下の正規軍を全て解散させ、諸惑星の駐屯軍を構成するよう命じたのである。
五大公家は、それぞれが星間連盟の首長たらんとしたため、新たな首長の選出は完全に破綻をきたし、各王家は自らの戦力を増強しはじめたのである。
ケレンスキーはこうした諸公家を和解させるべく働きかけたが、それに耳が貸されることはなく、免職をもって報いられた。彼は彼の信頼する上級将校達を集め
6ヶ月の年月を費やして、200隻を超える宇宙船団を結集させた。そして、西暦2894年11月、全体の4分の3にのぼる正規軍兵士達が、部署を放棄し、ケレンスキーのいる
ニューサマルカンドへと集合した。大公たちはこうした動きを押しとどめるべく出動したが、大きな痛手を蒙るにとどまった。
集結した正規軍船団は辺境宙域へとジャンプし、中心領域(イナー・スフィア)を離脱したのであった。これを《脱出(エクソダス)》という。

ケレンスキー将軍の劇的な中心領域からの離脱により、五大王家の衝突を押しとどめる実質的な障害はなくなった。

西暦2786年12月、ドラコ連合のミノル・クリタは自分こそが星間連盟の首長であると宣言し、他の四大公もその動きに追随した。

西暦2787年から2821年にかけて起こった第一次継承権戦争(ファースト・サクセッション・ウォー)では、
継承武王達は、アレス条約を破棄し、貿易と経済に再建不可能な深刻な被害をもたらした。

西暦2815年には、超高速宇宙船の造船能力を失い、この事によって、先進技術である水質浄化装置に頼ってた惑星は大打撃を受けた。
充分な修理や交換部品を得られなくなったこれらの惑星では、設備が充分な機能を果たさなくなり、惑星を放棄するか、輸氷船技術へ立ち戻るかを選択しなければならなくなったのである。

第二次(セカンド・サクセッション・ウォー)・第三次(サード・サクセッション・ウォー)により、戦争と疲弊を繰り返した人類は、その技術水準を21世紀初頭程度まで退化させた。
科学技術や特殊な知識などが完全に失われ、先進コンピュータや大規模な融合炉施設、宇宙船を建造することは容易な事ではなくなったのである。

そして西暦3025年。第三次継承権戦争で疲弊した五大継承武王は、それぞれに体制を立て直すべく懸命になっている。
市民達にとってのつかの間の平和の裏側には、不穏な空気が漂い、火種がくすぶっているのである。


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